篠原弘明写真帖 『TRIP to the UNIVERSE 森羅』
80歳の写真家によるデビュー作は、10年の月日をかけて撮り下ろした「全中国」の記録。
それは宇宙への旅、そして普遍への旅…。
■刊行によせて
篠原弘明氏は、自ら創業したフォスター電機の相談役を務めている。現在、同社の最も重要なパートナー企業のひとつがAPPLEである。iPod、iPhoneのイヤフォンの製造を一手に引き受け、全世界3万人の従業員を抱えるフォスターは、グローバル企業の先駆でもある。最初の成功は、ソニーと組んで製作したトランジスタラジオだ。その発明で一躍世界に進出し、60年代には米国GM(ゼネラルモーターズ)との提携も実現させた。その後、世界の音響機器メーカーや、BMW、メルセデスベンツといった自動車メーカーに高性能のスピーカーを提供し続けている。
そんなフォスターの創業者である篠原氏のポリシーは、「人がやらなかったことをやる」ということだった。70歳を迎えた時、篠原氏は念願の撮影旅行をスタートさせた。それまでも趣味で世界各地の自然を撮ってはいたものの、それは余暇の遊びに過ぎなかった。70歳からは、ビジネスに傾けてきた情熱を撮影に注ぎこんで、「人がやらなかった」全中国撮影旅行の敢行に着手したのである
それは冒険につぐ冒険、まさに大冒険だった。そして10年の歳月が経ち、写真の収穫は膨大なものとなり、やがて80歳を迎えようとした時、篠原氏は思い立ったのである。世界に誇りうるスピーカーを創造してきたように、有能なチームを組んで、世界に誇りうる写真集を制作しようと。
中国の著名な写真集出版社である中国摄影出版社と、アート本の印刷という分野では中国で唯一、世界的に高い評価を得ている深圳雅昌彩色印刷有限公司(アートロン)という理想的な組み合わせに加え、クリエイティブ・スタッフは日中合同となった。使用言語は中国語をメインに日本語と英語を併記した。これは世界に向けて、という夢を抱いたがゆえの必然的な構成である。企業人でも、80歳でも、情熱とポリシーさえあれば芸術家になりうる。
この一冊の写真集を世界に伝えたい。
責任編集者 森永博志
■篠原弘明プロフィール
1927年、長野県生まれ。49年にフォスター電機を創業し、66年に代表取締役社長就任。2001年、中国人写真家・李長鎖氏との出会いを契機に中国撮影旅行を開始した。以来、中国全土への撮影旅行回数は27回を数える。北京798芸術区内の映画廊芸術中心をはじめ、上海美術館、広東美術館など中国全土6箇所で巡回展を開催。2008年11月逝去。
編集:森永博志
撮影監修:李長鎖
アートディレクション&デザイン:宮川一郎
体裁:B4判変形/ハードカバー
頁数:184頁
定価:[日本]5,250円(税込)* [中国]368元
出版社:中国摄影出版社
販売元:ASHU(株式会社 亜洲中西屋)
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