Questionnaire with Theseus Chan 1  2

 

Questionnaire with Theseus Chan Part 2

By courtesy of designboom http://www.designboom.com/ 


Q  一日の中で一番お気に入りの時間は?

A  自分のギターをかき鳴らす余裕のある朝。


Q どんな音楽を聞きますか?

A デルタ・ブルーズ。ブルーズのいろんな曲を演奏します。演奏するのも好きだから。


Q ラジオは聞きますか?

A だいたい、いつもインターネットラジオですね。


Q 枕元に置いてあるのはどんな本ですか?

A ギターの商品カタログ、ギターに関する本、ギター・アンプに関する本。


Q デザインやアートや建築系の雑誌は読みますか?

A 読んでいるとまでは言えないな。面白そうな記事があったときに斜め読みするくらいです。


Q ニュースや情報はどこから得ていますか?

A Google(グーグル)。


Q 女性の装いには一家言おありでしょう。お好みは?

A そうですね、女性はありきたりな格好をするべきではないと思います。肉体を誇示するのでなく、知性を表現したほうがいい。


Q あなたが着たくない服は?

A もちろん、トレンディな服は着ません。


Q ペットを飼っていますか?

A 飼っていませんね。



Q 子供の頃からずっと、デザイナーになることを夢見ていましたか?

A 最初は漠然としていたけれど、だんだん大きくなるにつれて、自分には心に浮かんだ像を描き出す天分が備わっているのだと思うようになりました。やがてデザイナーになるわけですが、絵を描き始めたのは、まだとても小さかった4、5歳の頃です。

僕は頭の中で、極めてはっきりと空間的な位置関係を把握していますが、これは生まれつきですね。



Q 同業者と仕事について議論しますか?

A しません。クライアントとは話し合いますが。


Q 同時並行するいくつものプロジェクトを、どこで作業するのですか?

A のべつまくなしに仕事をしているので、どうこなすべきかという問題は頭の中で肥大化する一方です。さまざまなプロジェクトをひとまとめにするのは、基本的には、機械的にこなす作業と言えますが、昼夜を問わずどこにいても、つまり作業中でなくとも、あれこれと考えることはやはり多いですね。


Q 自分の親友になったつもりで、あなたのスタイルを解説して下さい。

A 物議を醸すユニークな奴。あり得ないような組み合わせをしても、違和感さえ美に変えてしまう。


Q 現在進行形の仕事の注目すべき特徴とは?

A (『WERK magazine』最新号の話になりますが)私がやりたかったのは、なにかを有機的に生み出すことでした。この号のテーマが「影響下にあるもの」だったこともあって、コントロールし過ぎることは避けたかった。それに相手は11人の、世界でも指折りのデザイナーですからね、過剰なコントロールを排し、成り行きにまかせるにしくはなかったのです。アイディアをそのまま生かし、あまり干渉し過ぎないようにしました。これは新しいやり方だったと思います。

*藤本やすし(CAP)がキュレーションを担当した『WERK No.15:UNDER THE INFLUENCE』には、クリストフ・ブルンケル、デヴィット・カーソン、松本弦人、ヨップ・ファン・ベネコム、服部一成、エム/エム(パリス)、横尾忠則、ワーク・イン・プログレス、ヨルゴ・トゥルーパスがフィーチュアされている。


Q あなたの仕事はどう進化しますか?

A 生物進化の系統樹のように、何かひとつのものから有機的に他のものを発生させるというコンセプトを提唱する私は、自分の仕事を通じて、どうにかして発生の前後にあるものを繋げたいのです。そうすると仕事に重層性が生まれる。偶然の出会いであれ、誰かの紹介によってであれ、仕事は重層化の一途をたどります。そして個人的な作品制作も、クライアントとの仕事も、この重層化の行き着く先にあるのです。


Q これまでのプロジェクトで一番満足したものは?

A WORKはおかげさまで、あまり無用の干渉を受けません。こちらを信頼して任せてくれるクライアントこそ、彼らにとって良いものを創り出す自由を与えてくれるクライアントといえます。こちらのやり方を受け入れ、こちらの見立てを理解してくれるクライアントに恵まれれば、プロジェクトは最大限満足の行くものになります。


Q あなたが影響を受けたり、好んで作品を鑑賞するアーティスト、デザイナー、建築家はいますか?

A これについてはよく考えたのですが、どうやら私が好きなのは建築家ではなく、ファッションデザイナーらしい。コム デ ギャルソンの川久保玲は、本当に素晴らしいデザイナーです。彼女の創造性、強さ、精神。そのすべてを尊敬しています。


Q デザインの仕事で組んでみたい相手は?

A フェンダーやギブソンのようなギター・メーカーでしょうか。


Q 若者たちに、なにかアドバイスはありますか?

A 自信を持って生きるためには、自分らしくあることを恐れてはいけない。独立した個人の考えを持つ人物になりなさい。

私は、若者たちがなにかに落胆したり、本当に困難な状況に直面しても、それに耐え抜き、やりたいことを貫けるよう応援したいと思います。彼らは強くならなければいけない。もし彼らが物事をやり続ければ、夢や目標を徐々に実現できるでしょう。未来は彼らのものです。


Q デザインにおける倫理とは?

A 私たちがやっているのはビジネスです。

誠実ではいられない場面もあるけれど、正直でいたいと思います。頼りがいがあり、信頼に足る存在でありたい。もし間違いがあったとしても、大抵なんとか穴埋めし、修正して乗り越えますよ。金銭面でも、私たちの会社はガラス張りの正直な会社です。自分たちにできないことや、やりたくないことがあるのを認めるにやぶさかではありません。自分たちの安眠のために、そうするんです。


Q 未来に不安を感じることはありますか?

A 未来は素晴らしいものになるでしょう。もちろん解決すべき人道上の問題や環境問題など、いくつかの問題はありますけどね。“WORKについて言えば、凡庸に陥ることこそ問題です。良くないものを作ってしまうことが、たぶん私の一番の不安かな。



(November 29, 2007)

原文URL:http://www.designboom.com/eng/interview/chan.html